今期は「青年部リレー」と題して月一回、ブロック役員のコラムを掲載します。

(毎月第2日曜頃更新予定)

第9回 「大分の竹細工

大分県の唯一の伝統的工芸品である別府竹細工をご存知ですか?

別府は江戸時代より日本一の温泉地として全国に名が知れており、訪れた湯治客が使用した台所用品がお土産品として売られるようになり、それとともに竹細工市場が盛んになりました。当時、別府には多くの竹細工職人がおり、明治時代以降、竹細工は工芸品としても発達していきます。昭和42年、生野祥雲斎が竹工芸の分野で初の人間国宝に認定されました。

竹は①一日の成長速度が速く、成長して伐採しても根が残りまた成長します②他の木々よりも35%も多くの酸素を生み出すと言われています③農薬や大量の肥料もいらないので、環境に優しく、かつ安価で安定して手に入りやすい「サスティナブル(持続可能な)」な素材とされています。

今回のコラム執筆にあたり、お茶の世界において欠くことのできない素材でもある「竹」について少し考えてみました。普段は手入れが簡単で安価なプラスチック製品をつい手に取ってしまいますが、環境にやさしい「竹」を一つでも生活にとりいれてはいかがでしょうか?

過去の大分でのブロック行事においても生野徳三先生の講演会を開催しました。大分青年部でも「竹の花籠(四海波)」作り体験や「茶杓削り」など竹を学ぶ研修を行っています。

2023年9月  ブロック副幹事長  山口 奈穂子 


第8回 「衝撃の九州ブロック研修会

8月19、20日は九州ブロック研修会です。

茶道を愛好する仲間たちが今年は長崎県の対馬に大集合します。

研修会と聞くと、初めて参加した平成23年8月阿蘇での九州ブロック研修会を思い出します。そこでの体験は心を揺さぶられることの連続でした。

「自然の中で一碗」をテーマにグループで一碗バッグを持ってハイキング!(こんな所でお茶点てるんだ!)と、お茶室のお茶しか考えたことがなかった当時の私にとってまさに衝撃でした。また、学生の時以来の集団宿泊や夜に開催されたレクレーションなど、どれも日常生活の中では使わない感覚フル活用でずっと不思議な感じがしていました。

そして研修に参加された皆さんが優しかったことも印象に残っています。(裏千家のお茶をやっている若い人がこんなにいて、みんな人として素晴らしい!)とここでも衝撃を受けました。

まさか12年後、自分がその研修を企画する一員になるとは。

参加される方の心に何かが残ればうれしいと思いながら頑張りますのでどうぞよろしくお願い致します!

2023年8月  ブロック副幹事長 高木 真砂代

第7回 「博多青年部の△▢」

7月に入ると私がお稽古に通っている地域にも飾り山が飾られ、7月15日の追い山まで博多の街は山笠一色です。「博多」で連想されるものは博多祇園山笠の他にもいろいろありますが、「博多青年部」といえば、お茶会で大活躍のあの「〇△▢」ではないでしょうか。

「〇△▢」とは、約9年前の地区大会の際に、有志によって設計、施工されたもの(写真参照)です。その時のテーマが「釜掛の松」でしたので、座礼棚として使われ、側面には青年部員によって博多独特の土塀「博多べい」を模した装飾をしました。

座礼と立礼の二通りで使えるよう、柱の長さは二種類あります。天板は桜、底板は杉、柱は檜で出来ており、解体して収納します。組み立て、解体にはコツが必要ですので、それは青年部内で伝承されています。

側面の装飾をその時々のテーマによって変えられるのも大活躍の所以です。これからも博多青年部の〇△▢を皆さまに楽しんでいただけますように。

2023年7月  ブロック幹事長 樋口 智美


第6回 「馬には乗ってみよ人には添うてみよ」

あれは確か6年前の梅雨入り頃、「なあ、空飛ぶ畳に乗って世界中にお茶を点てに行かないか」そうつぶやいた私に含笑した有志と、宮崎青松会(JC茶道同好会)を発会したところから尽く茶道の一歩が始まった。

発会に至るまでも今日までも、茶の湯の世界というのは御縁で成り立っていると日々是感謝している。気がつけば部長やブロックで大役を預からせて頂き、お稽古に赴く時間を作るのも儘ならないほど学び多く有難い。青年部会員やブロック役員方との歴然とした差を埋めるため、先生からの鼓舞激励「堂々としていなさい」を胸に各所で方円の器に従っている。

そんな門前の小僧たちが集う青松会も5周年を迎え、時を同じく奇遇にも九州内で発会した鹿児島・大分の青松会と合同記念茶会を鹿児島県日置市沈壽官窯の身に余る茶室と茶器にて、5月末の大安に開催することができた。10周年は宮崎開催である。何事も飛び込んで御縁に感謝し、堂々と?していれば信じられない場所やお道具から感動を与えてもらえるのもお茶の魅力である。

8月19.20日に研修Ⅱを担当させてもらっているブロック研修会が対馬で開催される。飛行機、フェリー、馬、空飛ぶ畳、いずれかに乗って足を運んで頂き、

ぜひ対馬でお会いしましょう。 

 

あなたが来れば、勢揃い。

2023年6月  副ブロック長 山口 徹


第5回 「澗水湛えて藍の如し (かんすいたたえてあいのごとし)」

五月に入り港から吹いてくる爽やかな浜風が頬をなで、対馬の山々は目にも鮮やかな新芽が生き生きと茂り、リアス海岸で形成された浅茅湾は碧く、渓流のせせらぎが耳に心地よい季節となり観光客を喜ばせてくれています。

禅の書物・碧巌録にこんなお話が出てきます。ある僧が問います。

「大龍和尚様、私たちの肉体はいずれ滅びてしまうが永遠不滅の生命はどこにありますか?」と。大龍和尚は、「山の花々は開いて錦を織り成したようであり、谷間を流れる川は青々としてまるで藍を流したようである。」と答えます。

生きとし生けるものは時の流れとともに移り変わり無常でありいつかは消えてなくなってしまいます。私たちはこの偉大なる自然の大いなる命の中で生きているのではなく生かされているのだと自覚し感謝する。寒いときは寒い、暑いときは暑い、悲しいときは涙を流し、嬉しいときは喜び、そのままあるがままの素直な心持ちでいるならば「澗水湛えて藍の如し」という素晴らしい風光を心から楽しむことができるのではないでしょうか。これから次第に天候が変化してきます。時節に身を任せながら8月に開催されるブロック研修会に向けて全力で準備をすすめていきたいと思います。 

 

夏真っ盛りのキラキラした対馬に乞うご期待。

2023年5月  ブロック長 田中 節竜


第4回 「和合の茶会」

先週のお稽古のときにかかっていた色紙「弄花香満衣」。

お水屋で準備をしているときにうぐいすの鳴き声も聞こえて。

なんとも、「春」。

お稽古のひとときは日常の喧騒を離れた心研ぎ澄まる時間だなと

改めて感じる今日この頃です。

 

沖縄は年中ハイビスカスが咲く南国。

床に飾るお花も南国を感じるものが多くみられます。

今日の研究会では早くもあやめ(オクラレルカ)が生けられていました。

3月下旬から4月上旬は一般的には桜の季節!と思いますが、

沖縄の桜は1月下旬がピークなので、この時期はお茶道具で桜を愛でている私です。

 

さて、沖縄・奄美大島・鹿児島「和合の茶会」。

皆さんはご参加されたことがありますでしょうか。

大宗匠の「一盌からピースフルネスを」の理念のもと、この三地域の歴史的・文化的なつながりを踏まえながら、世界に向けて平和と交流の輪を拡げようとスタートした茶会です。

昨年はコロナ禍で幾分か縮小傾向でしたが、沖縄で3年ぶりに開催されました。

なんといっても、大宗匠のお元気なお姿を拝見することができたことが何よりもうれしいことでした。

支部席は「ちむどんどん席」※ちむどんどん=胸が高鳴る、

青年部・学茶席は「いちゃりばちょーでー席」※いちゃりばちょーでー=一度会えば兄弟 と名付けて支部青年部学茶と一体になって取り組みました。

いちゃりばちょーでー席では、入り口に飾った地球儀へ、平和の使者である鳩の折り紙をご来場くださった皆様に平和を祈念して貼っていただき、平和祈念堂での献茶式の後に奉納させていただきました。

 

今年の和合の茶会は奄美大島での開催です。

奄美にはどんなお花が咲いているのかな、沖縄と同じかしら・・と思いを馳せながら、いまから”ちむどんどん”しています!

2023年4月  副ブロック長 塩釜 明子


第3回 「魁」

こんにちは。佐賀青年部の出口です。
周年行事を計画されている青年部も多いことと思います。
佐賀青年部は5年前に50周年記念大会を開催させていただきました。
明治維新から150年という節目の年に開催されたこともあり、私たちも先人たちの精神を受け継ぎ、どんな時も最初の一歩を踏み出すことを恐れず進んでいきたいという想いで青年部席のテーマを『魁』としました。
『魁』を象徴するお道具として「肥前びーどろ」でお棗を制作していただきました。
「肥前びーどろ」は佐賀藩の先進的な取り組みの一つです。
佐賀の礎を築いたと言われる 十代藩主鍋島直正公が、嘉永五年に精煉方(今で言う理化学研究所)を設置したのが始まりで、当時では珍しいガラス窯が築かれ、主に科学実験のためのビーカーやフラスコが作られました。
激動の時代、佐賀には日本を牽引する志と技術がありました。
お茶、温泉、焼物、肥前びーどろ!
これで今日からアナタも佐賀通ですね♪

2023年3月  副ブロック長 出口 優子

第2回自身の立場を忘れずに、守るべきことは守り、若さにまかせてやってみる。」

 今月のコラムを担当します野田です。

前置きとして内容がコラムになっていなかもしれませんこと、ご容赦ください。

 大牟田では今年10月7日(土)、8日(日)に大牟田支部創立75周年・青年部65周年記念大会を開催いたします。

 大牟田青年部の創立は昭和33年、初代部長でもある故・江上宗敏先生の一つの思いにより成されました。それは江上先生が大牟田青年部十周年記念大会記念誌に寄稿された文章の冒頭にあります。

「裏千家茶道を学ぶ者、然も近郊に住み常に研究会、茶会と顔を合わせ、又同席し乍ら名前も知らず話し合う機会もない不自然さ、お互いに話し位したい、出来れば名前も知りたい」

考え方は人それぞれなので、私は一人で楽しみたいんだ、という方もいらっしゃることと思います。見ず知らずの人にいきなり話しかけるなんて、シャイな青年茶人にはハードルが高いことでしょう。ですが青年部ではどこの社中であろうが、年が違おうが、研究会でも茶会でも話しかけてくれる先輩がいて、会員の顔と名前を覚えるとそれが当たり前のように言葉を交わす機会が増えます。私も年とともに話しかける側に変わりました(たぶん)。そのつながりは、狭かった世界を広げてくれました。視点の違う考えを知り、知識を増やす機会となりました。九州内の青年部、全国の青年部会員との交流がそれを幾重にも広げてくれたことは間違いありません。良いことも、そうでないこともありますが、私には刺激となり、何よりも勉強になっています。おそらく青年部に入会することがなければ知り得ないものだったでしょう。

 自青年部内の交流だけでも楽しいものです。ですが、一歩踏み出し、他青年部のお茶会やブロック研修会に参加すれば、様々な出会いが待っています。ふと隣り合った人と、お花が綺麗ですね、なんて些細な一言で交流が始まるかもしれませんよ。

 

江上先生の文章にはこうもあります。

「何れにせよ青年部は親支部の下部組織であり独走することをさけたい。然し乍ら青年部としての誇りを捨てる事なく若い者が若い内でなければ出来ない事はやるべしと考える」

 我々は裏千家という組織の一員です。自身の立場を忘れずに、守るべきことは守り、若さにまかせてやってみる。どちらも大事なことだと思います。

 そんなはじめの一歩を、ぜひ大牟田支部・青年部の周年行事で踏み出してみてください。お待ちしています。

 

 偉そうなことを並べて御目汚ししました。お許しいただき、ご笑納ください。

2023年2月  副ブロック長 野田 智美

第1回 「彩凰舞丹霄(さいおうたんしょうにまう)」

新年おめでとうございます。

今期ブロック長を務めます対馬青年部の田中節竜と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。

今期よりホームページ上で「青年部リレー」と題して月一回、ブロック役員がコラムを掲載します。

 そこで第一回目は私が選んだ禅語です。

輝かしい新春に相応しい語として選んだのは

 

「彩凰舞丹霄」 彩凰、丹霄(たんしょう)に舞う です。

 

五色の美しい彩りの翼をもつ鳳凰が雲一つない朝焼け、夕焼けの真っ赤な大空を悠々と舞っているという意味です。

鳳凰は、聖王(すぐれた徳があり立派な政治をする君主)が世に出るとそれに応じて現れるといわれる想像上のめでたい鳥で、これから明るい世の中が開けてくる兆しとされています。このことからよく新年のお茶会やめでたい席にこの語は用いられます。皆様のお住まいの各地域では初釜が催されたことでしょう。

 しかしながら新年を迎えてもなお、国内情勢はもとよりウクライナ戦争の長期化や周辺国をはじめとする世界情勢は益々先行きが不透明となり混沌としています。現実ではなかなか鳳凰が現れる兆しがありません。

そういう時だからこそ、私たちは茶の湯の心を見つめ直し、今一度、一人びとりが自分は素晴らしい世の中にいるのだという、「ありがとう」と「おかげさま」の気持ちを持てば、おのずと平和な明るい世の中が開けていくのではないでしょうか。

 

いよいよ新九州ブロックが始動します。今後ともよろしくお願い致します。

 

2023年1月  ブロック長 田中 節竜